「特定空家」とはどのような状態の空き家?|空き家管理
2023/12/122023/12/21
国は、適切な管理が行われていない空き家が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要との背景から、平成27年2月26日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家対策特別措置法)を施行しました。
この空家対策特別措置法では、以下定める4項目の状態にある空き家を「特定空家」と定義し、「特定空家等に対する措置の規定」を平成27年5月26日に施行しました。
<空き家のうち、以下の状態にあると認められるものを特定空家と定義する>
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記1~4に示された状態とはどのような状態か、「松山市空家等対策計画」を基に、松山市の特定空家等の判断基準を解説いたします。
<そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態とは>
1.建築物の倒壊等のおそれがある状態
◎建築物に著しい傾斜がある状態
下げ振り等を用い建物の傾斜調査を行い、1/20超の傾斜が認められるような状態など、柱の傾斜や基礎の不同沈下の状況により、建築物に著しい傾斜が見られるかなどを基に総合的に判断されます。
◎建築物の構造耐力上主要な部分の損傷などがある状態
・基礎及び土台
基礎のひび割れが著しく、土台に大きなずれが生じ、上部構造を支える役目を果たさなくなっている箇所が複数生じている状態。土台において木材の著しい腐食、損傷もしくは蟻害があるなど、著しい腐食が生じている状態など、基礎や土台の変形、破損、腐食状況などを総合的に判断されます。
・柱、梁、筋交い、柱と梁の接合部分
構造耐力上主要な部分である柱、梁、筋交いなどに大きな亀裂や、ずれが複数生じている場合、地震時に建築物にかかる水平力に対して安全性が懸念されます。柱、梁、筋交いの損傷状態や、柱と梁の接合状況などを基に総合的に判断されます。
2.屋根、外壁等の脱落、飛散のおそれがある状態
◎屋根ふき材、ひさし、軒など
屋根が変形している、軒の裏板、たる木が腐食している、軒や雨樋が垂れ下がっているなど、全部または一部において不陸、剥離、破損、脱落等が生じているか否かを基に総合的に判断されます。
◎外壁
外壁のモルタルやタイルの外装材に浮きが生じている、外壁の仕上材が剥落、腐朽、破損し下地が露出しているなど、外壁の全部または一部において、剥離、破損、脱落などが発生しているか否かを基に総合的に判断されます。
◎看板、給湯設備、屋上水槽など
看板、給湯設備、屋上水槽等の支持部分が腐食し転倒や脱落のおそれがある状態や、既に転倒しているなどの状況を基に総合的に判断されます。
◎屋外階段またはバルコニー
目視でも屋外階段、バルコニーが傾斜していることが確認できる状態や、手すりや格子など広範囲に腐食、破損等がみられ脱落のおそれがあるかなどを基に総合的に判断されます。
◎門または塀など
目視でも門、塀が傾斜していることを確認できる状態や、広範囲に腐朽、破損等が見られ脱落するおそれがあるかなどを基に総合的に判断されます。
3.外壁の状態
外壁にひび割れが発生している、擁壁表面に水が染み出し流出している、水抜き穴の詰まりが生じているなど、擁壁の地盤状況、構造、障害状況、老朽化による変状の程度などを基に総合的に判断されます。
<そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態とは>
以下の1または2に挙げられる例以外にも、個別事案に応じて適切に総合的に判断されます。
1.建築物または設備等が破損が原因で著しく衛生上有害となるおそれのある状態
吹付け石綿(アスベスト)が飛散し暴露する可能性が高い状態。
浄化槽が放置され、または破損し、汚物の流出、悪臭の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている状態。
2.ゴミ等の放置、不法投棄が原因で著しく衛生上有害となるおそれのある状態
ゴミ等の放置、不法投棄により、悪臭の発生、多数のネズミ・ハエ・蚊等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている状態。
<適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態とは>
以下の1または2に挙げられる例以外にも、個別事案に応じて適切に総合的に判断されます。
1.既存の景観計画や地域で定められた景観保全ルールに著しく適合しない状態
2.以下の状態にあり、周囲の景観と著しく不調和な状態
屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている。
多数の窓ガラスが割れたまま放置している。
看板が原型を留めず、本来の用をなさない程度まで、破損、汚損したまま放置されている。
立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している。
<その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態とは>
以下に挙げられる例以外にも、個別事案に応じて適切に総合的に判断されます。
立木の枝が近隣の道路にはみ出し、歩行者当の通行を妨げている。
空き家に動物等が住みつき、鳴き声など頻繁に発生する、動物の糞尿などの汚物の放置により悪臭が発生し、地域住民の生活に支障を及ぼしてる。
シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある。
門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れているなど、不特定のものが容易に侵入できる状態で放置されている。
<まとめ>
上で記載した状態は、国土交通省の「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)に記載されている特定空家等に該当する事例です。
該当していれば特定空家に指定されるわけではありませんが、適切に管理をされていない空き家は、特定空家に指定されるリスクがあります。
特定空家に指定された場合の影響については、特定空家に指定されるとどうなる?にて解説しておりますので、ご参照ください。
近隣住民に迷惑をかけないよう、空き家は適切に管理しましょう。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
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