生産緑地とは?生産緑地の指定を受けた不動産を売却する方法|不動産売却豆知識(第23回)
2024/02/172024/02/20
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第23回!
なんでこんな市街地に大きな農地が残っているんだろう?と疑問に思ったことはありませんか?
これは、平成4年ごろから指定された「生産緑地」という農地です。
また、これから生産緑地の不動産を売却しよう、農地を利用して資産運用しようと思われている方もいらっしゃると思います。
今回は、生産緑地という農地の解説、生産緑地を一般の不動産として売却する方法を解説していきます。
<生産緑地とは>
生産緑地とは、良好な都市形成を図るために、市街化区域内の緑地としての機能に優れた農地を計画的に保全することを目的にしている制度です。
背景としては、高度経済成長期に市街化区域内の宅地開発が無秩序に行われ、都市環境が悪化していきました。
都市環境悪化の防止策とあわせて、市街化区域内の農地を将来の公共施設の用地としても保全する必要があるとの考えのもと、生産緑地制度が定められました。
<生産緑地に指定される要件とは>
生産緑地に指定される要件は、生産緑地法第3条で定められています。
また、現在、松山市においては生産緑地の指定はありませんが、以下の要件に該当される場合は生産緑地の指定の相談を受け付けています。
松山市の規定した主な要件をご紹介します。
詳細については、「生産緑地制度について(松山市)」をご参照ください。
◎生産緑地の主な要件
・郊外または災害の防止、農業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設の敷地の用に供する土地として適していること。
・市街化区域内で、現に農業が営まれていること。
・一団の農地で農地の面積が500平米以上であること。
・主たる農業従事者が長期間(約30年)にわたり農業を継続できると見込まれていること。
・用排水その他の状況を勘案して、農業の継続が可能な条件を備えていること。
<生産緑地に指定されると>
生産緑地に指定されると、メリットとデメリットがあります。
◎メリット
・相続税、贈与税の軽減が受けられる。
・固定資産税の軽減が受けられる。
◎デメリット
・指定期間中は、農地として維持管理の義務を負う。
生産緑地に指定された農地は、30年間は農地として維持管理しなければなりません。
農地としての維持管理ができない場合には、税の優遇が解除される恐れがあります。
・行為制限がある。
生産緑地に指定された農地に建物を建築したり、宅地造成する場合は市町村の許可が必要となり、原則することができません。
・自由に農地を売却できない。
<生産緑地に指定された農地を売却する方法>
生産緑地に指定された農地の売却は自由に行うことができません。
一般の不動産として売却するには、生産緑地の指定解除をする必要があります。
生産緑地の指定解除を行う手順
1.市町村長に対し買取の申し出をする。
◎買取の申し出を行うことができる条件
・生産緑地の指定を受けてから30年経過していること。
・生産緑地の指定を受けた農地の主たる従事者が死亡、または怪我や病気などにより従事することが不可能になった場合。
市町村長は、買取の申し出があった場合、1か月以内に買い取るか否かの通知をします。
市町村長が買い取る旨の通知をした場合、買取条件について土地所有者と協議をします。
市町村長が買い取らない旨通知した場合は、次のステップに移ります。
2.市町村長は、農地を農業関係者へ買取のあっせんを行う。
市町村長は自らが買い取らない旨通知した場合は、農業に従事することを希望する者などに農地の買取ができるよう斡旋するように努めなければならないとされています。
3.指定解除
以上の手続きを行い、最初の買取の申し出をしてから3か月を経過すると生産緑地の指定は解除されます。
生産緑地の指定が解除されてはじめて、一般の不動産として不動産売却をすることが可能になります。
※生産緑地の指定を受けてから30年経過しても、買取の申し出を行わない場合は、生産緑地としての規制は継続します。
ただし、税制優遇については段階的になくなりますので注意が必要です。
<まとめ>
平成4年(1992年)頃に多くの農地が生産緑地に指定されました。
令和4年(2002年)に多くの生産緑地が、指定解除の要件である30年を経過しました。
市街地にある大きな農地が宅地として分譲したり、分譲マンションや賃貸マンションの用地として用途変更されています。
松山市でも多くの生産緑地が指定解除されています。
農業従事者の高齢化など、農地として維持管理が難しくなり新築の賃貸マンションが多く建築されており、賃貸マンションが急激に増えています。
また、今後は宅地分譲されるケースも増えることが想定され、周辺の不動産相場にも影響を与える可能性があります。
生産緑地であった農地の不動産売却は、大規模な土地の取引となります。
不動産売却、賃貸不動産として資産運用する場合には、1社に相談するだけでなく、複数社に相談し、最適な条件の契約を結ぶようにしましょう。
松山市、その周辺の不動産売却、不動産についてのご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
不動産のセカンドオピニオンとしても、株式会社ながろ不動産をお使いください。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
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松山市で安全な土地取引を支援
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