株式会社ながろ不動産

不動産売却時の売主の契約不適合責任とは?|不動産売却豆知識(第14回)

お問い合わせはこちら 売却物件情報はこちら

不動産売却時の売主の契約不適合責任とは?|不動産売却豆知識(第14回)

不動産売却時の売主の契約不適合責任とは?|不動産売却豆知識(第14回)

2024/01/052024/02/19

不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。

本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。

不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第14回!

「売主の契約不適合責任」をテーマに、旧民法の「瑕疵担保責任」と改正民法の「契約不適合責任」の違いについて解説します。

 

 

2020年4月1日に改正民法が施行され、不動産売却時における売主の責任が「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に改められました。

多くの不動産業者は、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わっただけだと安易に考えていますが、大きく売主の責任が改められているため、不動産会社としても正しく理解し対応する必要があります。

不動産の売買契約締結時には、売主、買主双方に十分説明の上、契約締結をする必要が出てきます。

また、民法改正され年月がさほど経過していないことから、不動産売買契約における「契約不適合責任」の解釈についての判例がなく、今後の司法の判断によっては大きな問題が起こる可能性を残しています。

 

◎瑕疵担保責任とは

旧民法では、売主は、瑕疵の有無にかかわらず物件を現況のままとりあえず引渡しされすれば債務不履行になることはなく、物件に瑕疵があった場合にはじめて、「瑕疵担保責任」という特別な責任を負わないといけないとされていました。

旧民法570条では、売買の目的物に「隠れたる瑕疵」があるときに、売主が負う責任を瑕疵担保責任と規定しています。

簡単に言えば、売主の瑕疵担保責任が認められるには、目的物の瑕疵(欠陥や不具合)が「隠れている」ことが必要となるのです。

これは、売買契約時に買主が瑕疵について知らなかったことはもちろんですが、その瑕疵が買主が取引上一般に要求される程度の注意をしても発見できないようなものである必要があるということをでした。

買主が契約当時に、明らかに雨漏りしているのに見落としていた場合などは、売主の瑕疵担保責任には該当しなかったのです。

◎契約不適合責任とは

改正民法では、売主は、単に物件を現況のまま引渡せばよいのではなく、契約の内容に適合した品質、数量の物件を引き渡す債務を負っており、引渡した物件が契約内容に適合した品質、数量でない場合、それだけで売主の債務不履行になるとしました。

そして、引渡された物件が品質、数量に関して契約の内容に適合しない場合、買主について、新たに追完請求(民法562条)、代金減額請求(民法563条)ができるものとし、あわせて旧民法でもあった損害賠償請求(民法564条)、契約の解除(民法564条)もできるものとしました。

これを売主の契約不適合責任といいます。

 

<瑕疵担保責任と契約不適合責任の大きな違いとは>

旧民法の瑕疵担保責任は、売主は債務不履行はないとの前提で、買主を保護するための制度に過ぎなかったのに対し、改正民法の契約不適合責任は、「債務不履行の一種である」と位置付けられました。

これにより、損害賠償請求の範囲が異なります。

欠陥などの損害賠償の範囲については、信頼利益と履行利益があるとされます。

・信頼利益とは

欠陥がないことを信頼して契約したことにより生じた直接の損害をいいます。

たとえば、欠陥の修繕費用など。

・履行利益とは

契約が履行されていれば得られるはずであった利益をいいます。

たとえば、買主が転売して得られるはずであった利益など。

瑕疵担保責任の場合、債務不履行はなく特別な買主の救済制度のため、信頼利益のみが損害賠償の範囲となります。

それに対し、契約不適合責任は「債務不履行の一種」とされたため、履行利益まで損害賠償の範囲にまで及ぶこととなり、買主が得るはずであった逸失利益までも損害賠償の範囲となることとなりました。

 

<まとめ>

物件についての「瑕疵」と「契約不適合」は、瑕疵や不具合などを指すことから大きな違いがありませんが、物件の求める品質や数量などは個々の契約で定めるものです。

契約不適合責任を免責することは契約上可能ですが、発見されている欠陥や不具合などについては、不動産売買契約書の特約などで容認事項として列挙するか、今後発見されるおそれのある欠陥などは、契約不適合責任の対象とならない旨を明記するなどの対策をする必要があります。

旧民法時よりも、契約不適合責任について契約の特約事項で詳細に明記することが重要になります。

今後、特約の有効性や容認事項の範囲についてなど、改正民法の契約不適合責任についての法解釈は裁判の判例の積み重ねを待つしかなく、予期せぬ争いが生じる可能性があることを認識する必要があります。

契約書の内容は、不動産会社任せにするのではなく、売主・買主双方今まで以上に契約締結前の内容確認が必要になるでしょう。

----------------------------------------------------------------------

<この記事の執筆者>

株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号

代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)

宅地建物取引士

行政書士(愛媛県行政書士会所属)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

不動産業界歴10年以上

電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394


松山市で安全な土地取引を支援

松山市の適切な戸建て売却

松山市の効率的なマンション取引

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。