雨漏りのある不動産を売却する場合の注意点
2024/01/152024/01/15
2020年4月1日に民法が改正され、不動産売却時の売主の瑕疵担保責任が、契約不適合責任へと改められました。
瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについては、「不動産売却時の売主の契約不適合責任とは?」にて解説していますので、ご参照ください。
契約不適合責任では、売主には「契約の内容に適した品質、数量の物件を引き渡す債務を負う」とされています。
引渡した物件が、契約内容に適した品質、数量でない場合、売主の債務不履行になり、損害賠償請求等を請求する可能性があります。
そこで今回のブログでは、雨漏りが発生している不動産を売却する場合の注意点を解説します。
<契約書への記載方法>
雨漏りが発生しているという事実を隠して不動産を売却した場合、もちろん契約不適合責任となるため、事前に買主への説明及び契約書の特約条項への記載が必要です。
不動産会社が実務上、よく「現状有姿で引渡し」と特約事項に記載しますが、「現状有姿」という用語は、法律用語ではなく明確な定義があるわけではありません。
よって、「現状有姿で引渡し」と特約事項に記載したとしても、当然に契約不適合責任が免責となるわけではない点は注意が必要です。
特約事項に、「雨漏りしている旨・具体的な損傷箇所」を記載の上、当該雨漏りについては、当該不動産の契約不適合には該当しない旨記載する必要があります。
◎契約書特約条項の例文
買主は、本物件建物について1階リビング天井より雨漏りのあることを認識した上で本物件を買い受けるものとし、本物件建物における雨漏りについては現状有姿のまま引渡し、雨漏りの発生が契約不適合に該当しないことを承諾するものとする。
また、雨漏りしていることを買主が事前に知ってる場合や、誰が見ても雨漏りしていることが明らかな場合でも、契約書の特約条項には上記のように記載する必要があります。
これは、「瑕疵担保責任」が買主が知らなかった隠れている欠陥に対する売主の責任であったのに対し、改正民法の「契約不適合責任」は、契約内容に適合した品質の物件を引き渡す債務を負っているからです。
<インスペクション・修繕見積もりの検討を>
インスペクションとは、一級建築士等の専門家による住宅診断のことをいいます。
インスペクション費用は、5万円前後です。
雨漏りをしている不動産については、購入検討者に雨漏り箇所等、事前に説明を行う必要があります。
その際、あらかじめ購入検討者にインスペクションの内容、修繕費用の見積もりを提供することで、雨漏りに係る負担を考慮した売買金額を提案できるでしょう。
<まとめ>
雨漏りなど、売主の契約不適合責任の対象となる瑕疵(欠陥)がわかっている場合、買主への説明、契約書の特約条項への詳細の記載が必要になります。
不動産業界には、「現状有姿で引渡し」という便利な言葉がよく使われており、不動産会社によってはこの便利な一言で契約条項を済ませてしまう場合もあります。
「現状有姿という文言があっても、売主の責任は否定されない」という判例も過去に数件あります。
今後、雨漏りなど「告知する必要がのある不動産」の売却を検討されている売主様は、重要事項説明書や契約書の作成を不動産会社任せにせず、告知事項が契約書当にきちんと記載されていることを事前に確認するようにしましょう。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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