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不動産売却時に購入希望者から出される購入申込書・買付証明書とは|不動産売却豆知識(第24回)

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不動産売却時に購入希望者から出される購入申込書とは|不動産売却豆知識(第24回)

不動産売却時に購入希望者から出される購入申込書とは|不動産売却豆知識(第24回)

2024/02/192024/02/19

不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。

本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。

不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第24回!

 

今回は、不動産売却時に、まず購入希望者から発行されるのが、「購入申込書」・「買付証明書」です。

この購入申込書や買付証明書(以下「購入申込書等」といいます)は、どのような効力、法的拘束力があるのか、過去の判例や不動産業界の慣習などから解説します。

 

 

<購入申込書等とは>

購入申込書等とは、不動産購入希望者の購入希望の条件(購入希望価格、購入条件等)を記載し、購入希望者から売主へ発行し、購入意思を提示する書類です。

具体的な形式は決まっておらず、購入申込書等に記載される主な内容は、下記の通りです。

購入希望者の氏名、住所

購入希望金額

手付金の額

※手付金の設定については、「不動産売却時の手付金の設定について」にて解説しておりますのでご参照ください。

・契約希望日

ローン特約の有無

・引渡し希望日

取引条件(境界確定の有無など)

不動産取引上、購入申込書等を発行することは多いですが、必ず発行されるとは限りません。

 

<購入申込書等を受け取ってからの流れ>

売主が購入希望者から、購入申込書等を受け取ってからの流れを解説します。

売主にて、購入申込書等に記載されている条件で売却をするのか、再交渉を希望するのか決めていただき、最終的に売主と購入希望者で条件の折り合いが付けば、契約手続きに進みます。

※ローン特約を利用する購入希望者の場合は、契約日までに金融機関の事前審査を受けていただきます。

一般的に、不動産売却を依頼されている不動産会社は、契約条件が双方合意し、購入希望者の事前審査が通り、契約日が確定した段階で全ての広告活動を停止します。

 

<不動産会社における購入申込書の取り扱いとは>

不動産売却を依頼された不動産会社は、購入申込書等を購入希望者から受け取り、売主に提示することで売却の意思を確認します。

また、不動産売却時に不動産業界ではあるあるなのですが、購入希望者は同じ不動産に重なることが多いため、購入申込書等の到着の先後で交渉の優先順位を付けます。

1年間全く売れなかった不動産が、いきなり複数人から購入申込書等が入ってくるなんてこともよくあるのです。

一番最初に購入申込書等を出した購入希望者を「一番手」、次に購入申込書等を出した購入希望者を「二番手」と呼びます。

一般的には、一番手の購入条件より、二番手の購入条件の方が良い場合には、一番手に二番手の条件でも購入したいか確認をし、二番手の購入条件に合わせられるのであれば一番手が購入します。

ただし、購入申込書等の取り扱いについては、規則等はなく不動産会社やその担当者によって変わりますので、注意が必要です。

購入希望者として、購入申込書等を出す場合には、「一番手」である旨は必ず確認しておきましょう。

後で、より条件の良い購入希望者が現れ、契約できないこともあるので重要です。

 

<購入申込書等の法的性質とは>

購入希望者が購入申込書等を出し、売主が売却を同意した時点で契約は成立するのでしょうか。

購入申込書等には、購入の金額や取引条件が記載されており、その条件で売主が売却すると合意したら、契約が成立しそうなものですが、一般的には買付証明書だけでは契約は成立せず売買契約書に署名捺印した時が契約成立日となります。

判例でも、購入申込書等の発行での契約成立は否定しています。

具体的な判例

・事案1

購入希望者が購入申込書等を出し、売却交渉を重ね売主が売渡承諾書の交付を受けたが、最終的に条件がまとまらなかった。

・判決

購入申込書等・売渡承諾書は、有効期限内に条件がまとまれば売買契約を締結する意思を示した文書に過ぎないとした。(奈良地裁葛城支部判昭60.12.26)

・事案2

売買契約の交渉を重ね、その時点での合意内容を記載した購入申込書等と売渡承諾書を相互に取り交わした後、購入希望者が支払い期日についての条件変更を申し出した結果、交渉決裂した。

・判決

最終的に正式な売買契約書の作成に至るのが通例であり、購入申込書等や売渡承諾書の取り交わしがあったとしても、契約内容の未調整の条件交渉の上、その後に正式な売買契約が予定されている限り、売買契約の成立は認められないとした。(東京地裁判昭63.2.29)

 

購入申込書等を売主に出し、交渉の結果、売主が売渡承諾書を購入希望者に出し、双方が合意した場合であっても、契約成立は認められていません。

不動産売買契約は、購入申込書等に記載されている内容より細かく契約条件を定める必要があるためです。

 

<まとめ>

購入申込書等は、不動産会社によっても取り扱いが異なります。

購入希望者から購入申込書等が出され、売主との交渉に入れば、売却活動の一切を止めてしまったり、新たな購入希望者や他社からの問い合わせも受け付けないといった対応を取る不動産会社もいます。

不動産売却中の売主は、少しでも良い条件で不動産を売却したいはずです。

金額の交渉や、売主にとって負担のある条件などが購入申込書等に記載されている場合は、交渉の合意があるまでは売却活動を続けてもらい、少しでも良い条件で購入を希望する買主を探すことも売主にとっては重要かもしれません。

不動産会社から、購入申込書等が入ったとの連絡があれば、その不動産会社に購入申込書等の取り扱いはどのようにしているか確認してみましょう!

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<この記事の執筆者>

株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号

代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)

宅地建物取引士

行政書士(愛媛県行政書士会所属)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

不動産業界歴10年以上

電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394


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