不動産売却で違法となる反復継続とは?|不動産売却豆知識(第29回)
2024/03/052024/03/08
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第29回!
不動産の取引を業として営むには、宅地建物取引業者の免許が必要となります。
弊社のような不動産会社は、愛媛県知事から免許をいただき不動産会社として営業しています。
一般の方は所有する不動産を売却する場合でも、売却方法によっては不動産業とみなされる場合があり、宅地建物取引業法違反(無免許営業)として罰せられる場合があります。
今回は、「宅建業」として免許が必要な不動産取引とはどのような取引なのか、宅建業とみなされる不動産売却方法とはどのようなものなのか、解説します。
<宅地建物取引業とは>
不動産の取引を業として営むことを、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という)では、宅地建物取引業(以下「宅建業」という)といい定義しています。
宅建業法第2条2項
宅建業とは
宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の代理若しくは売買をする行為で業として行うものをいう。
(引用元:宅地建物取引業法 e-GOVより)
簡単に言うと、不動産の売却、不動産売却の仲介、不動産賃貸の仲介を業として行うことを宅建業と定義しているのです。
不動産賃貸のオーナー業は宅建業に含まれていません。
宅建業を営むには、免許を受けなければなりません。
宅建業法第3条
免許
宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。
(引用元:宅地建物取引業法 e-GOVより)
宅建業の免許は、事務所が複数の都道府県にある場合は、国土交通大臣免許、事務所が一つの都道府県にしかない場合には、その都道府県知事免許が必要となります。
この免許を受けたものを宅建業者といい、弊社のような不動産会社のことを指します。
ちなみに、弊社は愛媛県知事の免許を受けて営業しています。
<宅建業の詳しい定義とは>
不動産売却を業として行う場合、宅建業の免許が必要となりますが、どのような不動産売却が「業」とみなされるのでしょうか。
国土交通省が作成した「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」にて規定されていますので、ご紹介します。
宅地建物取引業法第2条第2号関係
1「宅地建物取引業」について
(1) 本号にいう「業として行なう」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。
(2) 判断基準
① 取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
(注)特定の関係とは、親族間、隣接する土地所有者等の代替が容易でないものが該当する。
② 取引の目的
利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足を目的とするものは事業性が低い。
(注)特定の資金需要の例としては、相続税の納税、住み替えに伴う既存住宅の処分等利益を得るために行うものではないものがある。
③ 取引対象物件の取得経緯
転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、相続又は自ら使用するために取得した物件の取引は事業性が低い。
(注)自ら使用するために取得した物件とは、個人の居住用の住宅、事業者の事業所、工場、社宅等の宅地建物が該当する。
④ 取引の態様
自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が低い。
⑤ 取引の反復継続性
反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い。
(注)反復継続性は、現在の状況のみならず、過去の行為並びに将来の行為の予定及びその蓋然性も含めて判断するものとする。 また、1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する。
(引用先 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」より)
「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」で示された①から⑤を総合的に判断し、宅建業か否かを判断します。
特に判断しづらいのが、⑤の「取引の反復継続性」です。
<宅建業かの明確な判断は?>
上で紹介した、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に従い、その不動産売却が宅建業か否かを判断します。
実際の不動産現場で、よく売主から宅建業にあたるか質問を受けますが、我々のような不動産会社が明確な判断することはできません。
実際、行政に確認しても明確には答えてくれません。
特に「取引の反復継続性」については、どこまでの取引が反復継続にあたるのか明確な基準がありません。
宅建業法の取り締まりは、警察が行います。
警察が違法の判断をすれば、検挙される可能性があるので、違法の可能性のある取引は避けるべきでしょう。
<無免許営業の罰則は?>
宅建業免許が必要な不動産取引を無免許で行った場合、刑事罰が科される可能性があります。
無免許営業には、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科せられます。
かなり思い刑事罰が科される可能性がありますので、そのような取引は行わないようにしましょう。
また、無免許営業の不動産取引を仲介した不動産会社にも罰則があります。
軽い処分から、指示処分、1年以内の事業停止処分、免許取消処分と罰則が科せられる可能性があります。
<よくいただく相談>
松山市内では、流通しやすい敷地面積が35坪から45坪で、一番坪単価が高額になります。
そこで100坪以上の土地の売却相談をいただく際、「それぞれを40坪前後に分筆して順番に売っていけば高く売れるのではないか?」とご質問をいただきます。
その場合は、不動売却を反復継続して行っている判断され、宅建業法違反となり刑事罰が科される可能性がある旨説明しております。
「年を跨いだら検挙されないと聞いたことがある」など言われる場合もありますが、これについても行政に確認しましたが、「年を跨ぐ跨がないは判断基準にない」との回答でした。
<まとめ>
一般の売主様が行える安全な不動産売却方法は、「1回の取引で不動産を売却する」ことです。
また、短期間に不動産の転売を繰り返し行う場合なども、利益目的とされ違法な取引と判断される可能性もありますので注意が必要です。
不動産取引は、所有権移転登記を伴うため、行政も取引の実態を把握しやすいという特徴があります。
不動産売却で利益を得ようと思っている場合は、宅建業の免許が必要になるでしょう。
----------------------------------------------------------------------
<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
松山市で安全な土地取引を支援
松山市の適切な戸建て売却
松山市の効率的なマンション取引
----------------------------------------------------------------------