不動産査定方法の紹介(取引事例比較法編)|不動産売却豆知識(第33回)
2024/03/212024/03/22
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第33回!
今回は、不動産の査定方法の1つである「取引事例比較法」について解説します。
※以下の解説は不動産会社が行う不動産査定についての解説です。不動産鑑定士が行う不動産鑑定とは違います。
<取引事例比較法とは>
取引事例比較法は、通常の不動産査定で最も多く使われる査定方法で、特に土地や中古マンションの査定の際に用いられます。
一戸建ての査定では、土地については「取引事例比較法」で、建物部分については「原価法」で算出することが一般的です。
原価法については、「不動産査定方法の紹介(原価法編)」にて解説しておりますので、ご参照ください。
取引事例比較法とは、「国土交通省 不動産鑑定評価基準」によると、以下のように定義されています。
取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である。(この手法による試算価格を比準価格という。)
取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。
簡単に言うと、査定する不動産の周辺の過去の取引事例(成約事例)をたくさん集め、その取引事例の中から最適な取引事例を選択し、査定金額を算出する方法です。
また、査定を行う際には、必要に応じて事情補正、時点補正、地域要因の比較、個別的要因の比較を行って、最終の査定金額を算出します。
<事情補正とは>
事情補正とは、取引事例に特殊事情があった場合に、事例の適正化をすることをいいます。
たとえば、土地として売却されているものの、「古家付き土地」として売却されている場合は、買主が負担する建物解体費を考慮した取引事例となり、相場より成約した価格が安い場合があります。
その場合は、想定される建物解体費用を事情補正し、価格を補正します。
<時点補正とは>
時点補正とは、取引事例は過去に行われた取引の事例のため、過去の取引時と現在の不動産相場に変化がある場合などに修正することをいいます。
たとえば、2年前の周辺の取引事例を採用し査定金額を算出しようとしているが、地価が5%下落しているような場合には、95/100の時点修正を行います。
公示価格や標準地価など、公の機関が発表する地価に大きな変動があった場合は、時点補正を行う必要があります。
<地域要因の比較とは>
地域要因比較とは、査定する不動産が含まれる地域と取引事例が含まれている地域を比較し、必要がある場合に行う調整をいいます。
たとえば、査定地域は駅から徒歩5分圏内にあるが、取引事例は駅から徒歩15分圏内である場合です。
公益財団法人不動産流通推進センターの「既存住宅価格査定マニュアル」では、85/100の地域要因の修正がされます。
この修正値については、大都市圏と地方都市では駅が不動産価格に与える影響に違いがあることも考慮に入れる必要があるでしょう。
<個別要因の比較とは>
個別要因の比較とは、取引事例または査定不動産の個別要因を比較し、修正を加えることをいいます。
個別要因の比較でよく比較され修正される項目は、以下の通りです。
◎土地の場合
・接道方向(角地であるか否か)
・間口の広さ
・土地の形状
・接する道路の種別(公道か私道か)
・騒音・振動などの有無
◎マンションの場合
・所在階数
・バルコニー方角(角部屋であるか否か)
<取引事例比較法の査定書で注意すること>
不動産会社に依頼する土地、中古マンションの不動産査定の多くは、取引事例比較法で行われます。
過去に取引された事例を用い算出する価格のため、査定不動産の現在の相場を知る上では有効は査定方法です。
しかし、査定時に採用する取引事例によっては、査定金額が大きく変動するため、不動産会社の思惑一つで容易に査定金額を調整できるデメリットもあります。
査定依頼をする場合は、複数社に査定依頼を行い比較検討すると良いでしょう。
また、ご自身で周辺の取引事例を調査し、相場観を確認するとより良いでしょう。
「不動産会社に頼らず不動産の相場を知るには?」にて、相場の確認方法を解説しておりますので、あわせてご参照ください。
<まとめ>
不動産会社が行う査定の多くは、取引事例比較法で行われています。
(中古戸建の建物は原価法、収益物件の場合は収益還元法で行われる場合が多いです)
ただし、不動産会社が行う不動産査定は、不動産会社が売れる金額を保証するものではありません。
不動産会社が、不動産をどのように売るかの思惑によって容易に査定金額を変えることもできてしまう物でもあります。
不動産の売却方法は、不動産仲介と不動産買取でも大きく価格は変わり売却方法でも価格の変動はあるでしょう。
高い査定金額を出した不動産会社が不動産を高く売ってくれる訳ではありません。
不動産売却のために不動産会社に査定依頼をする場合には、複数社に依頼し正確な相場を理解する必要があるでしょう。
ながろ不動産では、公益財団法人不動産流通推進センターの査定マニュアルを使用し、適正な不動産査定金額を算出しております。
また、基本的には不動産仲介をおすすめしており、売主様にとって一番利益のある売却提案を行います。
松山市、東温市、伊予市、伊予郡砥部町、伊予郡松前町の不動産売却をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。
査定依頼、不動産についてのご相談は、無料です。
お問い合わせは、「お問い合わせフォーム」まで!
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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