市街化調整区域に家は建つのか?既存宅地とは?|不動産売却豆知識(第13回)
2023/12/292024/02/19
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第13回!
「市街化調整区域に家は建てれるのか」をテーマに、既存宅地について解説します。
<市街化調整区域とは?>
市街化調整区域とは、土地計画区域内のうち、市街化を抑制すべき区域です。
わかりやすく伝えると、市街地から離れた田畑が広がる地域です。
市街化調整区域では、建物を自由に建築することはできず、建築する際には開発許可が必要になります。
市街化調整区域内で、開発許可を受けなくても建てれる建物としては、農家住宅、農業用倉庫、農業用温室、公民館など限定的です。
自由に建物を建築できないため、地価は安く1区画が広い土地が多いのが特徴です。
<既存宅地とは~松山市、松山市近郊自治体の場合~>
松山市や松山市近郊の市町村(東温市、伊予市、伊予郡松前町)では、昭和46年12月20日に都市計画法に基づき、都市計画区域が定められ、都市計画区域を市街化区域、市街化調整区域に線引きされました。
この線引きが行われた昭和46年12月20日以前から、地目が「宅地」であった土地については、既存宅地として開発許可を受けなくても建物を建築をすることができることとしました。
しかし、既存宅地の制度は平成13年5月18日の都市計画法の改正により廃止されました。
現在では、既存宅地という制度は存在していませんが、既存宅地であった土地については、都市計画法43条の建築許可を受けることにより、建物を建築できることとなったため、旧既存宅地として取り扱いされています。
都市計画法43条の建築許可の条件は細かく規定されており、土地1つ1つ確認が必要になりますので、不動産会社や建築会社に相談し、建築許可を受けられる土地なのか調査してもらいましょう。
<市街化調整区域で注意すること>
市街化調整区域内で、農家住宅や農家用倉庫として建築した建物は、その用途以外に利用した場合、都市計画法違反になります。
農家住宅を賃貸で第三者に貸し出したり、農家用倉庫を他の業種の倉庫として利用することはできません。
また、建物の用途変更、増築や敷地を分筆していた場合など、旧既存宅地の建物でも建て替えができなくなる場合もありますので、そのような行為を行う場合は、行政または専門家に相談したほうがいいでしょう。
<旧既存宅地か調べる方法>
土地の登記簿(登記事項証明書)で調べる方法が一般的です。
現在、法務局はコンピューター化されており、紙台帳で記載していた当時の登記事項証明が入手できない場合があります。
法務局の窓口で取れる登記事項証明書に、昭和46年12月20日より前の記載事項がなければ、閉鎖登記簿を入手して確認しましょう。
また、昭和46年12月20日当時に宅地として固定資産税が課税されていた場合も、既存宅地の証明になるため、昭和46年12月20日より前の固定資産土地評価証明書でも確認することができます。
<まとめ>
市街化調整区域の旧既存宅地は、建築許可を受けることができれば、新たに建物が建築されるため、住宅用地として需要があります。
ただし、建築許可を受けるために、様々な手続きが必要になる場合があるため、不動産売却時には別途諸費用が必要になったり、時間がかかったりする場合があります。
また、不動産売買契約時には、「建築許可が無事得られたことを停止条件」か、「建築許可を得られなかった場合は解除できる解除条件」をつけるかなど、契約の際は不動産会社と相談の上、契約する必要があるでしょう。
※停止条件とは、この場合、建築許可を得られてはじめて契約の効力が発生するという条件のことです。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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