不動産売買時のクーリングオフとは
2024/02/212024/02/21
クーリングオフとは、一般的には、販売業者などから執拗な勧誘、押し売りを受け、断り切れずに購入の申し込みをしたり、売買契約を締結してしまった場合、一定期間の間であれば、一方的に申し込みの撤回や契約解除をできることを言います。
不動産の取引におけるクーリングオフは、宅地建物取引業法(第37条の2)で定められています。
今回は、不動産売買におけるクーリングオフについて解説いたします。
<クーリングオフの条件>
買主がクーリングオフを行使するには、以下の条件が必要になります。
1.売主が宅建業者であること。
クーリングオフができるのは、売主が宅建業者である場合のみです。
宅建業者が、宅建業者以外の売主の仲介として不動産を売却している場合は、クーリングオフの対象にはなりませんので注意が必要です。
2.宅建業者の事務所以外で買い受けの申し込み、契約行為を行ったこと。
宅建業者の事務所や、宅建業者が宅地建物取引士を置く必要のある営業所や事務所で、契約手続きを行った場合は、クーリングオフの適用対象にはなりません。
実際に専任の宅地建物取引士がいる展示場などであっても、その展示場が宅建業法で定められた専任の取引士(宅地建物取引士)を置かなければならない事務所に該当しない場合は、クーリングオフの適用対象となります。
喫茶店やファミリーレストランなどで、契約行為を行った場合は、クーリングオフの対象となります。
しかし、買主の希望により、買主の自宅や勤務先で契約行為を行った場合は、クーリングオフの適用対象とはなりません。
ただし、宅建業者が買主の申し出によらず自宅や勤務先を訪問した場合や、電話等による勧誘により自宅や勤務先を訪問した場合は、クーリングオフの適用対象となります。
3.クーリングオフが適用する場合で、それを行使できること、及びクーリングオフの方法を知らされた日から8日以内であること。
不動産の取引におけるクーリングオフ制度は、クーリングオフの方法を知らされた日を起算日として8日間行うことができます。
クーリングオフを行う際は、8日以内にクーリングオフの意思を売主に発信すればよく、クーリングオフの通知書面が8日以内に売主に到達している必要はありません。
4.買主が不動産(宅地または建物)の引渡しを受け、かつ、その代金の全額を支払っていないこと。
買主が不動産の引渡しを受け、不動産に対する代金を全額支払った場合、クーリングオフをすることはできません。
5.申し込みの撤回、契約解除を書面で行うこと。
クーリングオフの通知は、書面で行う必要があります。
クーリングオフの通知には、契約を解除する、申し込みを撤回する旨記載すれば足り、契約解除の理由などは記載する必要はありません。
<まとめ>
不動産取引の現場で、クーリングオフが適用になる場合は非常に少ないでしょう。
実際の現場では、購入申込書を取り、金融機関の事前審査を受け、正式な不動産売買契約を結ぶ流れとなるからです。
NHKで話題のドラマ「正直不動産」のように、不動産の物件内で契約書に署名捺印をさせるようなことはあまりありません。
ただし、なかには執拗な勧誘や強引な営業手法で不動産購入の契約をしてしまうケースもあるかもしれません。
クーリングオフの適用条件を正しく理解することは、安心して不動産取引を行う上で重要なことです。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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