住宅ローンを返済中の不動産を賃貸に出せるのか?|不動産売却豆知識(第30回)
2024/03/082024/03/11
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第30回!
住宅ローンで自宅を購入したけど、転勤で引っ越して使わない、住宅ローンの返済が厳しくなってきたから賃貸収入を得て住宅ローンを返済したい。
住宅ローンは、借入期間が20年から40年と長期間にわたるため、その間に様々な事情で住宅ローンで購入した自宅から離れるケースがあるでしょう。
そういった場合、住宅ローンを利用して購入した不動産を賃貸物件として、貸すことはできるのでしょうか?
今回は、住宅ローンで購入した不動産を賃貸物件として貸すことができるのか、解説したします。
<住宅ローンとは>
住宅ローンとは、新築・中古マンションや建売住宅を購入したり、一戸建てを建築する際やその土地を購入する際に金融機関などからお金を借りる、住宅取得専用のローンです。
住宅ローンは、住宅取得支援を目的としており、他のローン(金融商品)と比較すると、金利が低く設定されています。
また、住宅ローンを利用し、特定の住宅を購入した場合、税優遇(住宅ローン控除)もあります。
銀行などの各金融機関が取り扱う住宅ローンと、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携し、提供しているフラット35があります。
<住宅ローン返済中に賃貸で貸せるのか?>
結論から言うと、住宅ローン返済中の不動産を賃貸物件として貸し出すことはできません。
住宅ローンは、居住用の不動産の取得支援を目的とした、他のローンよりも優遇されているローンです。
住宅ローン返済中は、その不動産を契約者の居住用としてのみ使用することができます。
これは、どの住宅ローンにも共通しており、住宅ローンの契約書に必ず記載があります。
転勤や親の介護で一時的に自宅から離れるといった特定の事情の場合は、住宅ローン返済のまま自宅を貸し出すことを許可されるケースもあります。
ただし、金融機関との交渉が必要となりますので、必ず金融機関に相談し、賃貸として貸し出すことが可能かどうか確認をしましょう。
<金融機関に無断で賃貸に出し、金融機関にばれたら>
住宅ローンを返済中の不動産を金融機関に無断で賃貸に出し、金融機関にばれてしまった場合、以下の対応を迫られます。
1.住宅ローンから他のローン(賃貸不動産ローン)への借り換えを求められる。
住宅ローンは、上でも解説した通り、居住用の不動産にのみ使える金融商品です。
賃貸用の不動産には、住宅ローンは使えないため、他の金利の高い賃貸不動産ローンへの借り換えが求められます。
借り換えには、手数料など数十万必要になり、月々の返済額も上がります。
2.一括返済を求められる。
多くの金融機関は、無断で賃貸に出している場合、一括返済を求めてくるでしょう。
住宅ローン返済中の自宅を賃貸に出すことは、明確な契約違反だからです。
一括返済を求められた場合、一括返済が難しい場合、不動産を売却する必要があります。
ただし、期限が決められているうえに、賃貸に出している場合、買い手がなかなか付かない可能性があります。
3.刑事告訴される。
金融機関が悪質と判断した場合、住宅ローンを不正に利用したとして詐欺罪で刑事告訴される可能性があります。
<金融機関にばれる?>
金融機関に黙って賃貸に出しても、ばれないと思っていませんか?
金融機関は、契約者が自宅に住んでいるか郵便物を定期的に郵送したり、担当者が訪問したりし確認をしています。
すぐには発覚しなくても、怪しまれた時点で金融機関は徹底的に調査しますので、ばれないと甘く見ることは危険です。
<住宅ローン返済中の自宅を賃貸で出す時の注意点>
◎賃貸不動産ローンへの借り換えで返済額が増える。
原則、住宅ローンを利用したままでの貸し出しはできないため、賃貸不動産ローンへの借り換えが必要です。
借り換えの諸費用と毎月の返済額を計算し、家賃設定をする必要があるでしょう。
◎賃貸不動産を運用する費用も必要。
建物や設備の不具合があった場合、原則貸主が修理する必要があるので、それらの費用も想定した家賃設定、資金計画が必要になります。
また、借主の募集など不動産会社に依頼する場合や賃貸管理を依頼する場合、不動産会社への支払いも必要となります。
◎将来、自宅を利用したい場合は定期借家契約を結ぶ。
一時的に自宅を離れる必要があり、その間だけ賃貸に出したいといった場合、定期借家契約を結ぶ必要があります。
一般的な普通借家契約の場合、借主が保護されており、原則借主が賃貸契約を解除するまで何年でも住み続けることが可能です。
貸主から契約を解除するには、正当な事由が必要となります。
正当な事由が認められるには非常にハードルが高く、「貸主が使うから解約したい」は正当な事由とはならず、解約できません。
定期借家契約の場合は、契約期間を自由に設定することができ、契約期間が満了すれば契約の更新はせず、解約となります。
ただし、借りられる期間が決められているため、借主が見つかりにくく、相場家賃より低く設定する必要があったりとデメリットもありますので、注意してください。
<悪徳不動産屋に注意!>
最近、社会問題化しつつあるので減っているとは思いますが、不動産会社が住宅ローンを悪用して投資用マンションを買わせるケースがあります。
投資用マンションの購入には、絶対に住宅ローンは使えませんので、このような不動産会社とは一切付き合わないようにしましょう。
私にも、数年前に関西の投資マンション販売会社から、「金利の安い住宅ローンで投資用マンションを買って節税対策しましょう」と何度も電話が掛かってきました。
私は、住宅ローンの知識があったので、「住宅ローンで投資用マンションが買えるわけない」と言い返しましたが、「皆さん、住宅ローンで買ってもらってます」との返事でした。
このような悪徳不動産会社から購入した方が、今、金融機関から一括返済を求められ困っているようです。
<まとめ>
やむを得ない事情で、自宅から引っ越しする必要がある場合は、まず金融機関に相談をしましょう。
金融機関に相談の上、不動産を売却して住宅ローンを返済するのか、不動産を賃貸に出して運用するのか決めると良いでしょう。
金融機関に黙って賃貸に出すと、一括返済を求められる可能性が高いので絶対にやめましょう。
不動産会社に賃貸の相談に行くと、住宅ローンの確認などせず、安易に募集をかけ所有者のリスクも説明しない不動産会社もいますので注意してください。
愛媛県内、松山市、東温市、伊予市、伊予郡砥部町、伊予郡松前町で住宅ローン返済中の不動産についてご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、「お問い合わせフォーム」まで!
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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