既存不適格建築物とは?|不動産売却豆知識(第57回)
2024/06/252024/06/25
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第57回!
今回は、既存不適格建築物について解説します。
<既存不適格建築物とは>
既存不適格建築物とは、建物が建築された当時は合法であったが、その後の法改正により現行法には適合していない建築物をいいます。
既存不適格建築物は、現行法上は違法状態ですが、法律的には違法ではない建築物であるため、建築当時から違法状態であった「違法建築物」とは異なります。
既存不適格建築物は、建て替え、増改築、大規模修繕、大規模模様替えを行う場合は、原則として建築物全体を現行法に適合させたものにする必要があります。
建築確認や完了検査が行われている建築物でも、それらの調査はあくまで建築当時の法令に適合していたかの検査であるため、現行法には適していない可能性があります。
所有している建築物が、既存不適格建築物だと認識していない所有者も多くいますので、売却の際には注意が必要です。
<既存不適格建築物の具体例>
・容積率のオーバー
建築当時、容積率が400%であったが、後に200%に変更された場合など、容積率が下がった場合、現行法では容積率がオーバーしている可能性があります。
容積率がオーバーしている建築物を使用しつづけることは可能ですが、建て替えを行う際には、従前の規模の建物は建てることができません。
・地区計画の影響
区画整理事業より前からある建物については、区画整理後に新たに地区計画が策定された影響で既存不適格となる場合があります。
地区計画では、外壁後退や高さ制限、外壁の制限など、さまざまな制限が決められています。
地区計画策定前の建物が地区計画の規制内か否かの確認は必ず必要となります。
・耐震基準の変更
耐震基準は、1981年5月31日までに建築確認申請を受け建てられた建物を「旧耐震」、1981年6月1日以降に建築確認を申請を受けた建物を「新耐震」と呼びます。
旧耐震の建物については、既存不適格建築物となります。
旧耐震基準・新耐震基準については、「旧耐震基準・新耐震基準とは?不動産売却にも影響する重要なポイント」にて解説しておりますので、あわせてご参照ください。
<既存不適格建築物を売却する際の注意点>
既存不適格建築物は、建築当時は適法であったため、売主が現行法に適合しているかの判別が難しく、売却後に既存不適格建築物であることが発覚するというリスクがあります。
その場合、売主の契約不適合責任が問われる可能性があります。
契約不適合責任については、「不動産売却時の売主の契約不適合責任とは?」にて解説しておりますので、あわせてご参照ください。
耐震基準については、建築確認申請日を確認すれば既存不適格建築物か否かの判別は可能なため、旧耐震の建築物を売却する場合には、「旧耐震である旨」は必ず買主に伝えるようにしましょう。
また、容積率についても、現行法の容積率を確認し、売却しようとしている建物が容積率をオーバーしていないか確認しましょう。
【容積率(%)=延べ床面積÷敷地面積×100】
しかし、その他の既存不適格建築物か否かの判断は、非常に難しいため建物を売却する際には、既存不適格である可能性があることを契約書や重要事項説明書に記載しておくと安心でしょう。
また、松山市近郊では東温市の志津川南地区が近年、区画整理事業後に地区計画が策定されました。
区画整理事業前に建てられた建築物を売却する場合には、注意が必要です。
<まとめ>
今回は、既存不適格建築物について解説しました。
違法建築物とは違い、建物自体は違法なものではありませんが、建て替えや増改築の際には影響が出てきます。
さらに、現行法上と比較すると違法であるため、違法建築物と勘違いし割安な価格で売却してしまう場合などもあるので注意が必要です。
ながろ不動産では、愛媛県内、松山市、東温市、伊予市、伊予郡砥部町、伊予郡松前町の不動産売却を行っております。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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