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借地権付き建物を売却する方法|不動産売却豆知識(第61回)

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借地権付き建物を売却する方法|不動産売却豆知識(第61回)

借地権付き建物を売却する方法|不動産売却豆知識(第61回)

2024/07/052024/07/05

不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。

本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。

不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第61回!

 

今回は、借地上に建てられた建物を売却する場合の注意点を解説します。

 

借地権については、「借地権(新借地権)とは?」「旧借地権とは?」にて解説しておりますので、ご参照ください。

 

<借地上の建物とは>

借地上の建物とは、建物を建築するために地主から借りた土地の上に建っている建物をいいます。

そのため、土地と借地上の建物の所有者は異なります。

借地上の建物を売却する場合、建物のみ所有権を移転することになります。

 

※第三者から土地を借り、その土地に建物を建てる権利のことを借地権といいます。

 

<借地上の建物を売却するとは>

借地上の建物を売却する場合、借地上の建物とあわせて敷地の賃借権(借地権)もあわせて譲渡する必要があります。

※賃借権の譲渡とは、賃貸借契約の借主の地位を譲渡することをいいます。

敷地の賃借権をあわせて譲渡しなければ、建物を取得しても敷地を利用する権利がないことになり、土地の不法占拠となり得るためです。

 

賃借権の譲渡については、民法612条1項にて、借主の地位を譲渡する場合は、貸主(地主)の承諾を得なければならないとされています。

借地上の建物が譲渡されると同時に、賃借権の譲渡も行われたとみなされるため、借地上の建物の譲渡を地主の承諾なしに行った場合、敷地の賃借権の無断譲渡となり、賃貸借契約が解除される可能性があるので注意しましょう。

 

<地主との交渉>

上で解説した通り、借地上の建物の譲渡を行うと、敷地の賃借権の譲渡もあわせて行ったとみなされます。

そのため、借地上の建物の譲渡を行う前に、必ず地主の承諾を取る必要があります。

 

まずは、地主に賃借権(借地権)の譲渡の承諾を交渉します。

地主にとって、借主の変更は、新たな借主から、将来に亘って地代を安心して回収できるかなど、リスクが伴うため、承諾を得られないことも想定されます。

承諾を得られない場合は、承諾料を提示し、承諾を交渉することもあります

承諾料の相場は、借地権価格の10%前後といわれていますが、適正な承諾料を提示されたとしても、地主が承諾するかは自由です。

特に旧借地権の場合は、半永久的に土地が戻ってこないことを危惧している地主も多く、簡単に借地権の譲渡に応じる地主は少ないと思われます。

 

交渉によって賃借権の譲渡の承諾を得られない場合は、裁判所に申し立てを行い、地主の承諾に代わる許可を得る必要があります。

 

<裁判所への代諾許可申し立て>

●代諾許可申し立て

地主の賃借権譲渡の承諾が得られない場合、裁判所に申し立てを行い、地主の承諾に代わる許可を得る必要があります。

地主の承諾に代わる許可のことを「代諾許可」といいます。

この申し立てについては、借地借家法19条に定めがあります。

 

☆参考法令 借地借家法19条1項(「e-GOV 借地借家法」より)

借地権者(借主)が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者(貸主)に不利となるおそれがないにもかかわらず借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

 

この申し立てについては、借地上の建物の譲渡を行う前(所有権移転登記前)に行う必要があります。

裁判所における代諾許可を下すにあたっては、借主の変更が、地主にとって不利にならないことが前提となります。

 

地主にとって不利になるケースとは、下記のような場合です。

1.資力に不安がある

新たな借主の資力に問題がある場合、毎月の地代の支払いに不安が残るため、地主にとっては不利になると判断される可能性があります。

2.新たな借主と地主の関係

地主と新たな借主に、過去に問題があったり、問題が現に生じている関係などの場合は、地主にとって借主の変更が不利になると判断される可能性があります。

 

新たな借主についても、裁判所の代諾許可の判断基準となるため、借地上の建物の購入者が決まったら、建物を譲渡する前に申し立てを行う必要があるでしょう。

また、裁判所は代諾許可を下すにあたっては、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡または転貸を必要とする事情その他一切を考慮することとなります。(借地借家法19条2項)

 

●譲渡承諾料の支払い

借地借家法19条1項後段では、「裁判所は代諾許可をするにあたり、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。」と定められています。

裁判所が下す代諾許可は、賃借人の申し立てにより一方的に賃借権の譲渡を認めるもので、地主にとっては不利益となります。

そこで、裁判所は、当事者の利益の衡平を図る必要があるときは、借地条件の変更を命じたうえで、借地権の譲渡承諾料の支払いを賃借人に課すことができるとしているのです。

 

なお、譲渡承諾料の支払いが条件とされ代諾許可が下りた場合、許可後6カ月以内に賃借人による譲渡承諾料の支払いと建物の譲渡が行われない場合は、代諾許可の効力を失うことになりますので、注意が必要です。

 

●地主の介入権の行使

賃借人から、裁判所に代諾許可の申し立てがあった場合、地主は、裁判所の定める期間内であれば、地主自らに建物を譲渡、および土地の賃借権の譲渡をするよう申し立てをすることができます。

この地主による申し立てを介入権の行使と言います。

介入権が行使されると、裁判所は相当の対価と転貸の条件を定めて、地主への建物の譲渡と転貸の命じることができます。

 

この際の地主が支払う相当な対価は、下記の通りです。

 

「相当な対価=建物の譲渡代金+土地賃借権の譲渡代金-賃借権譲渡承諾料」

 

☆参考法令 借地借家法19条3項(「e-GOV 借地借家法」より)

代諾許可の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、借地借家法19条1項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

 

<まとめ>

以上の通り、借地上の建物の売却は、「地主の承諾」が必須です。

地主の承諾は得られないケースが多く、その場合は、事前に裁判所へも申し立てを行う必要があります。

借地上の建物の売却を検討されている場合は、事前に地主との交渉は必ず行っておきましょう。

また、交渉がうまくいかない場合は、弁護士等に早めに相談をすると良いでしょう。

 

ながろ不動産では、愛媛県、松山市、東温市、伊予市、伊予郡砥部町、伊予郡松前町にて不動産売却を行っております。

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<この記事の執筆者>

株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号

代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)

宅地建物取引士

行政書士(愛媛県行政書士会所属)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

不動産業界歴10年以上

電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394


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