【解体更地渡しの注意点】不動産売却前に知っておくべきポイント
2024/03/112024/06/04
古い建物がある不動産の売却方法の1つに、売主負担で建物を解体し、更地にして引渡す条件で売却する「解体更地渡し」があります。
今回は、売主の負担で建物を解体し、解体更地渡しをする際の注意点を解説します。
<なぜ売主負担で建物を解体するのか?>
建物を解体する場合、30坪の木造住宅であれば150万円ほどの解体費が必要になります。
解体費については、道の広さ(重機、トラックの入りやすさ)や建物の構造、庭木・庭石の有無などでも増減します。
多額の費用を売主が負担しても、売主負担で解体した方が良い場合はどのようなケースでしょうか?
一番わかりやすいケースが、建物は古いが、立地が良く土地としての需要が高い不動産などは、建物を解体し更地にし土地として売却した方が売却価格が高くなる場合です。
売主が解体し更地にすることで、解体する必要のある建物があることを理由とした不必要な値下げ交渉を避けることができます。
ただし、解体工事については不動産会社に丸投げは危険です。
不動産会社は、通常の解体費用に上乗せし、売主に解体工事を請求しているケースが多いため、割高になる可能性があります。
必ず相見積もりを取るようにしましょう!
最近増えているケースとして、相続不動産の空き家化を防ぐための「空き家の発生を抑制するための特別措置(3,000万円控除)」を売主が利用したい場合です。
この特別控除を利用するには、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、建物を解体して滅失登記を完了し売却する必要があるため、売主主導で建物を解体し引渡す方が安心して3,000万円控除を受けられるでしょう。
売却後に、買主が解体工事を行った場合も特別控除を受けることはできますが、買主が期限内(相続後3年以内)に解体工事を行ってくれない場合、特別控除が受けられないリスクがあるので注意が必要です。
この特別控除については、「不動産相続後の空き家対策!相続不動産売却時の3,000万円控除のポイント」にて解説しておりますので、ご参照ください。
<解体更地渡しにする際の注意点とは>
売主が建物解体工事に入るタイミングの多くは、売買契約後です。
契約では、売主が建物(工作物も含む)を解体し引渡す旨約束するのですが、売主が行うべき解体工事の範囲について、売主と買主の見解が異なっている場合、後日トラブルに発展する可能性があります。
そこで、これらのリスクを回避するために、売主が行う解体工事の範囲を明確に売買契約書に書いておく必要があります。
特に注意が必要なのが、外構(フェンスや塀)、外構の基礎をどこまで撤去するかは明確にしておきましょう。
実際の不動産売買現場でも、よく起こるトラブルです。
買主には現場を確認してもらった上で、工事の範囲を決めていくのですが、解体工事が終わって引渡し、いざ建物を建てる際に「塀を撤去して欲しい」や「外構の基礎はいらない」など言われることも多々あります。
そこで、私が実際の売買契約書で記載した特約条項をご紹介します。
<特約条項>
売主は、自己の責任と負担において、対象不動産上に存する工作物(外構ブロック塀の基礎及び対象不動産南側隣接地とのブロック塀は除く)、立ち木等を対象不動産引渡し時までに撤去し、かつ既存建物の滅失登記を完了するものとします。
この場合、建物と庭木と外構ブロック塀は撤去しましたが、外構ブロック塀の基礎と南側隣接地とのブロック塀は残すことを契約書に明確に記載しています。
<アスベスト調査にも注意>
2022年(令和4年)4月に施工された「大気汚染防止法に基づく石綿(アスベスト)障害予防規則の改正」により、建物解体時のアスベスト含有調査が義務付けされました。
解体する建物にアスベストが含有されており、想定していた解体費用より高額になった場合、売主が不動産売買契約を履行することが難しい場合もあるでしょう。
アスベスト含有調査の結果によっては、売主が契約を解除できる旨の特約を契約書に追記することも検討する必要があります。
私がいつも追記する特約条項をご紹介します。
<特約条項>
1.建物解体工事に先立ち行う石綿含有物検査にて、対象不動産土地上に存する建物に石綿が使用され、対象不動産売買契約時に想定されている建物解体費用にて建物の解体工事が行えない場合、売主は対象不動産売買契約を解除することができるものとします。尚、本解除を行う場合、売主は買主に対し、石綿含有物検査の結果の証明書等を買主に提出するものとします。
2.前項記載の検査は、本契約後1週間以内に行うものとし、前項記載の売買契約解除期日は〇月〇日とします。
3.前第1項によって、対象不動産売買契約が解除された場合、売主は、受領済みの金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければなりません。同時に対象不動産の売買を媒介した宅地建物取引業者も受領済みの報酬をそれぞれ売主・買主に無利息にて返還しなければなりません。
この特約では、アスベスト含有検査を行う期日、解除期日を明確に設定し、契約後すぐに売主にてアスベスト含有調査をする義務を課しています。
もし建物にアスベストが含有されていた場合には、売主が売買契約を白紙解除するか判断できるようにしています。
その他、解体更地渡し時の契約書特約条項の条文例を「解体更地渡しの特約条文例」にて解説していますので、あわせてご参照ください。
<まとめ>
不動産の引渡し後の売主と買主のトラブルを未然に防ぐことは、不動産の売買契約を行う上で非常に重要なことです。
契約書に記載していない内容でトラブルが起こると、解決することがより困難になります。
売主と買主の見解の違いなどからくるトラブルは、契約前に双方ときちんと協議をし、契約書の特約に記載することで防ぐことは可能です。
今後、売主負担で建物を解体して不動産売却をするケースが増えてくるでしょう。
本解説を参考にしていただき、トラブルを未然に防いでいただければ幸いです。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
FAX番号 : 089-994-6394
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