水路に面した不動産の売却について|接道条件や橋の占用使用許可に注意しよう
2024/03/192024/10/22
上の写真の土地は、過去に私が売らせていただいた土地です。
土地と道路の間には水路が流れています。
建物が建っていましたが、不動産売却にあたり建物を解体し土地として売却をした土地ですが、この土地は現状のままで建物を建築することはできるのでしょうか。
今回は、このような水路に面している不動産を売却する際の注意点を解説します。
<接道義務を満たしているか>
水路にのみ面している不動産は、建築基準法上の接道義務を満たしているかが問題となります。
建築基準法上の接道義務とは、「土地に建物を建てる場合には、幅員4m以上の建築基準法の道路に2m以上接している必要がある」ことをいいます。
接道義務を満たしていない土地は、建物を建築することができず、売却が困難になります。
水路に面しており接道条件が満たされていない場合、当該水路の占用使用許可を取得し出入りのための橋を架けることで、接道条件を満たすことができる場合があります。
建築基準法上の道路にについては、「道路の種類とは?」で解説しておりますのでご参照ください。
<上の写真は接道条件を満たしているのか?>
写真の向かって左側の道(舗装されていない細い道)は、建築基準法の道路でなく、この道で接道条件を満たすことはできません。
では、水路に架かっている橋で、接道条件を満たしているのでしょうか?
まず市役所で、この橋は水路の占用使用許可を取得して設置したものか確認する必要があります。
松山市役所で確認したところ、この橋は占用使用許可を取得していないことがわかりました。
この土地の場合、接道条件を満たすには、占用使用許可を取得し、水路に橋を架ける必要があるため、「この橋では接道条件を満たすことができず、現状では新たな建物を建築することはできない」ということがわかりました。
昔は、現在ほど建築基準法が厳密ではなく、占用使用許可を取得していない橋でも建築確認が下りている場合もあります。
また、接道条件を満たすために架ける橋の基準(橋の強度など)は、過去と比べると厳格になっており、写真のように数十年前に架けられた橋では、現在の橋の基準を満たしていない場合もあります。
現在使用している橋をそのまま利用し、占用使用許可を取得できるとも限りません。
また、過去に占用許可を取得していたとしても、現在の橋の基準に適合していない場合は、建物を新築する際には、新たに橋の新設を求められる場合もあるので注意が必要でしょう。
<どのように売却したのか>
上の写真のケースの場合、解説した通り、現状ある橋を利用して接道条件を満たすことはできません。
新たに、占用使用許可を取得した上で、橋を架けて接道条件を満たす必要があります。
売主が不動産売却のためだけに、新たに占用使用許可を取得し橋を架けることは現実的ではありませんので、「建物を建築する場合は、新たに占用使用許可を取得し橋を新調する必要がある」旨説明し、売却をすることとしました。
事前に、占用使用許可を取得しているか、新たに占用使用許可を取得することはできるのか調査の上、売主・買主双方に事前に説明することで円滑な不動産売却は可能でしょう。
実際に重要事項説明で記載した特約をご紹介します。
◎特約
1.水路に設置された架橋については、占用使用許可を得ていないことを売主及び買主は予め了承の上、契約するものとします。尚、対象不動産に建築物を建築する際には、法定外水路占用使用許可を得る必要があります。当該許可については、買主の責任と負担において行うものとします。
2.対象不動産に存する架橋については、松山市の法定外水路使用許可運用指針の基準に適合していない可能性があり、前項記載の占用使用許可取得時に架橋の再設置を求められる可能性があります。
<契約不適合責任にも注意>
水路に面した土地は、性質上、土に水分を多く含み地盤が弱い可能性があります。
水路に面した土地を売却する場合は、売却後の売主の契約不適合責任を追及されないよう特約条項を十分検討する必要があるでしょう。
契約不適合責任については、「不動産売却時の売主の契約不適合責任とは?」にて詳しく解説しておりますので、あわせてご参照ください。
<まとめ>
水路に面している不動産を売却するには、事前の調査と買主への説明が重要になります。
昔に架けられた橋では、新たな建物を建築する際に、橋の新調を求められる可能性がありますので、事前にきちんと行政に確認するようにしましょう。
ながろ不動産では、不動産のご相談をいただいた際に、徹底的な不動産の調査を行い、売主様がご希望される最善の売却方法を提案できるよう心掛けております。
松山市、東温市、伊予市、伊予郡松前町、伊予郡砥部町の不動産売却をご検討の方は、是非ながろ不動産までまずお気軽にご相談ください。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
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