不動産売却時の越境について|不動産売却豆知識(第52回)
2024/06/112024/06/11
不動産には専門的な知識や用語が多く、一般のお客様には特にわかりにくいと思います。
本ブログ内では、「不動産売却豆知識」シリーズとして、不動産取引に役立つ豆知識を解説します。
不動産取引に役立つ豆知識を解説していく不定期更新シリーズの第52回!
今回は、不動産売却時における「越境」について解説します。
<越境とは>
越境とは、建物の一部や塀、植栽が、敷地から隣接地へ侵入していることをいいます。
逆に隣接地から敷地へ侵入については、被越境といいます。
越境している物を越境物、被越境している物を被越境物といいます。
越境物・被越境物には、目視で確認できる物の他に、地中に埋設されている給排水管や塀の基礎なども越境物になる可能性があります。
普段の生活をするなかでは、越境物・被越境物があったとしても隣地の方が何も言ってこなければ問題は起こりません。
しかし、不動産を売却する際には様々な問題となる可能性があるため、越境物の確認は必ず行う必要があります。
<越境で生じる問題とは>
不動産を売却する場合、「越境」は重要事項説明の際に必ず説明します。
そのため、越境物があれば重要事項説明書には必ず記載します。
しかし、金融機関によっては、重要事項説明書の内容も金融機関の審査対象となるため、越境物を撤去し、越境を解消することを条件として融資の承認が下りるケースがあります。
建物の構造物が越境している場合などは、容易に撤去することができないため、融資が付かない場合があるのです。
また、隣地の越境物があることにより、有効敷地面積が減り、減額請求をされる可能性もあるでしょう。
売却時に認識していなかった越境や、買主に越境について説明をしていなかった場合など引渡し後に発覚した越境・被越境については、引渡し後にトラブルに発展する可能性があり、売主は契約不適合責任を追及される可能性があります。
ただし、売却時に重要事項説明の際などに、買主にしっかり説明を行い、買主が合意をしている越境については引渡し後にトラブルになる可能性は低いでしょう。
<越境を見逃さないために>
越境を見逃しているとトラブルに発展する可能性があるため、売却時の調査は重要です。
まず、目視でしっかり確認をしましょう。
建物の構造物や樹木の越境だけでなく、電線が上空を越境している場合もあります。
電線の越境は、見逃されがちですが、建物を新たに新築する際に邪魔になったり、鳥がとまり糞害の原因となる場合もあるので注意しましょう。
地中の埋設物の越境については、図面の調査と現地調査が必要です。
給水管の場合は、市役所などの水道管配管図で配水経路が確認できます。
給水管の他人地を経由している、他人地への引込管がが被越境している場合などは、越境を解消することが可能か隣地所有者と話し合いをしておきましょう。
汚水の場合は、下水と浄化槽の場合で調査方法が異なります。
下水道の場合は、敷地内に宅内汚水桝があれば他人地を経由している可能性は低いでしょう。
宅内汚水桝がない場合は、排水経路をきちんと確認する必要があります。
浄化槽の場合は、浄化槽で処理された水を水路に排出する必要があります。
水路までの排水経路をきちんと確認しないと、他人地の溝などに流している場合もあるので注意が必要です。
排水経路の確認は、排水桝を開け、色付の水を流すなどし確認することができます。
ブロック塀などの基礎も地中で越境している可能性があります。
必要であれば、ブロック塀の境界付近を掘り、基礎の構造を確認する必要があるでしょう。
<まとめ>
不動産を売却する際の越境の取り扱いは、越境の度合いによっても異なります。
事前の調査で越境をきちんと把握し、買主に説明した上で売却する場合にはトラブルに発展する可能性はかなり低くなります。
越境などを認識している場合は、必ず告知しましょう。
また、将来、建物を再建築する際には越境物、被越境物を撤去する覚書を隣地所有者と結んでおくと、買主も安心する場合もあります。
越境は、近隣トラブルにも発展する可能性もありますので、慎重な取り扱いが必要になります。
ながろ不動産では、愛媛県内、松山市、東温市、伊予市、伊予郡松前町、伊予郡砥部町の不動産売却を行っております。
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<この記事の執筆者>
株式会社ながろ不動産
愛媛県松山市本町6-6-7 ロータリー本町306号
代表取締役 長櫓 陽光(ながろ ようこう)
宅地建物取引士
行政書士(愛媛県行政書士会所属)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴10年以上
電話番号 : 089-994-6393
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